怖い話

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かつてある村に、夜中にだけ開くと言われる古い神社がありました。この神社には、日中にはどこにも見当たらない隠れた参道があるという噂がありました。一人の好奇心旺盛な若者が、この噂に魅了されて、真夜中にその神社を訪れることに決めました。

夜が深まるにつれ、彼は村のはずれに位置するその神社に辿り着きました。しかし、見慣れたはずの神社の景色が不気味に変わっていました。参道には靄がかかり、周囲の木々は異様に大きく見え、彼をじっと見下ろしているようでした。勇気を振り絞り、彼は靄の中を進んでいきました。

神社に近づくにつれて、彼は遠くから不思議な音楽と踊りの音を聞き始めました。それはこの世のものとは思えない、幽玄な音色でした。彼が神社の本殿に近づくと、突然音楽が止み、辺りは死の静寂に包まれました。恐怖で息をのむ彼の前に、一人の女性が現れました。彼女はかつてこの村で生きた、美しいが悲しい運命を持つ巫女だったと言われていました。

女性は彼に、この神社が夜中に開く理由を語り始めました。それは、夜な夜なこの地を訪れる亡霊たちを慰め、彼らがこの世を離れて安らかに眠れるようにするためだったのです。そして、彼女自身もまた、この世とあの世の間で彷徨う魂の一人だったのです。

彼女の話が終わると、女性は靄の中へと消えていきました。若者は急いで村へ戻りましたが、その後彼は決して神社の近くを通ることはありませんでした。この出来事から数日後、彼は村を離れ、二度と戻ることはありませんでした。

この話は、村の人々によって語り継がれ、夜中に神社を訪れることの危険性を警告する譚となりました。そして、今もなお、真夜中に不思議な音楽が聞こえるとき、それは亡霊たちが慰めを求めてこの神社に集っている証だと言われています。